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収穫日記Villa Wilhelma

Updated: Sep 21, 2021

2020/8/24

🍇ワイナリー

自宅のラマット・ガンからバイクで25分。

8月下旬だが、さすがにバイク+Tシャツ+朝5時半という設定は寒かった。

向かったのはブネイ・アタロットと言う小さなモシャブ*¹で、歩いて10分圏内にベングリオン空港がある。 

*1モシャブとは農業を営む居住区

写真:ヨーロッパを思わせるVilla Wilhelma ワイナリーの建物


ここは閑静な住宅街で、第二次世界大戦時代ドイツから来たクリスチャンのグループが建てた当時の建物を改修した家が並ぶ。

どの建物も1900年初頭のヨーロッパ建築を周到したエレガントな家たちだ。


ワイナリーに着くと暗闇と霧の中に立派な西洋風の家が現れた。

6時、約束通りに時間に着いたので安心した。

しばらくすると助手席に子供を乗せた初老の男性が***で来た。

こちらから声をかけると、タイミング悪く電話で話し中だった。

終わるのを待って自己紹介をすると、ぶっきらぼうに「お前の事は聞いてる。収穫する場所は少し遠いからバイクでついて来い」と言って窓を閉めた。


この人がワイナリーのオーナーのモティさんだ。

畑で働くイスラエル人らしく、屈強そうで言葉数は少なめだ。

ワイナリーから舗装道、砂利道を走ること10分くらい、壮大なブドウ畑に出くわした。


一般的にイスラエルワイナリーと言うとゴラン高原やエルサレム近郊のジュディアン・ヒルズを思うが、こんな所にもブドウ畑が広がっている驚き。

今日収穫する場所に着くとモティさんと甥っ子のオハッド君が車から降りてきた。

少年は14、5歳といったところか。体は大きく多分1m70位はあるだろうが、顔に幼さが残る。


写真:ワイナリーから10分くらいのブドウ園


周辺に泊まっていた車から4人の若者がゾンビの様にゾロゾロやってきた。

今シーズン、このワイナリーの収穫を支えてきた労働者たちだ。

彼らはみんな大学生で、生物学、建築、法学など学んでいる。


モティさんが本日のバツィール(収穫)について話す。

「みんな今日が最終日だが最後までがんばってくれ。今日も暑くなるから10時頃までには終わらせるつもりだ」

「それと今回はなんと日本からボランティアに来てくれた。エリヤだよろしく!」

自分は自己紹介しようと「ボケル・トーヴ!」と挨拶してるのに、モティさんはそそくさと準備に取り掛かっている(笑)

写真撮影のためにカメラを取り出している間に、皆は次々にブドウ畑に進んでいく。


🍇今回の経緯

フェイスブックのイスラエルワインを愛するグループに「ブドウの収穫を探してます」と書き込みをしたのがきっかけだった。

返信を多くもらったが、Gilさんという女性は電話番号付きだった。

「Villa Wilhelmaワイナリー、明日収穫あり、参加希望なら連絡されたし、050******」


家から近くて行ったことがないワイナリーだ。

速攻電話したが留守電設定で「メッセージを残すかワッツアップで連絡ください」と。

一応メッセージを残し、ワッツアップにも書いた。

反応がないのでFBのメッセンジャーとスマフォのテキストメッセージも書いてみた。

明日の収穫まで時間が迫り、諦めかけていた夜の7時半頃にメッセージが届いた。

「明日の収穫は朝6:00開始です。Villa Wilhelmaワイナリーに来てください」

早速準備し早寝することにした。

興奮して正直朝の3時位まで眠れなかった。


写真:ブドウ園から拝む朝日


🍇収穫作業

今回収穫するぶどうはRuby Cabernet。

朝焼けが妙にキレイでそれだけで今日収穫に来た価値が有ると思った。

モティさんいわく「今年のブドウ達は良い子だ。何でか分かるか?」

「飛行機などの喧騒を逃れて元気に静かに育たんだ」

ベングリオン空港が近い地区なのに、コロナのお陰で飛行機がほぼ飛んでいない。

何か自分の自慢の子供達が、何かを成し遂げたような口ぶりにこっちも熱くなった。


写真:皮から出た真っ赤な汁


Ruby Cabernetは比較的小粒の青ムラサキ色の厚めの皮に守られたブドウだった。

収穫時期を待っていたというオーナーは、自分にブドウを食べるように言ってきた。

「エリヤ、よく見ろ」といってブドウを汚れた手で優しく潰してみせた。

「皮の弾力性、ジュースが溢れ出すだろ、それと種の色を見てくれ」

ブドウから透明のジュース、黒くなった種が出てくる。そして皮からは赤紫色の汁が。

モティさんはこうやって収穫の時期を決めているという。


写真:Ruby Cabernet 青紫のきれいなブドウ


収穫時は一つのレーンを二人一組で摘んでゆく。

自分の最初のパートナーは甥っ子のオハッド君だ。

無口でモクモクと作業している。

話しかけると反応してくれた。

自分がゲーム開発の話をすると喰い付いてきた。

「プレステのゲーム作ったの?スゲ!!!」ここでいつも調子に乗る自分。

自慢気に開発に関わったゲームを語った。


別レーンに移り今度はテヒラーさんという女子大生と作業。

彼女は建築士を目指して勉強中で、肌は褐色、元気で陽気な子だ。

「なんでイスラエルに来たの?」これいつも聞かれる質問。

彼女は今日は彼氏と収穫作業に来ていた。


写真左:モティさん               写真右:イケメン学生のユバル君


9時頃だろうか、モティさんが「休憩するぞ!」と叫ぶ。

お腹を空かせた若者たちは走ってモティさんの車に向かってゆく。

自分は睡眠時間も少なかったせいか、結構疲れていた。

畑の点滴栽培用のホースを持ち上げて、閉めている箇所を開けると勢いよく水が出てくる。その水で手を洗う。


奥さんのギルさん手作りのサンドイッチが配られる。

バゲットにたっぷりとバジルペーストが塗られ、大きく切られたモッツアレラチーズと新鮮なトマトのスライス。

シンプルだが畑仕事の間に頂くと本当に美味しい。

ワイナリーによって異なるが、ここは途中休憩で朝食を取る。

先週行ったところはすべての作業が終わった11時頃にブランチを全員で頂く。

また各自で作業中に持ってきたサンドウィッチを食べたりもする。


写真:ギルさん手作りのサンドウィッチ


食事後残りの作業を小一時間して、モティさんから終了が告げられた。

10時だが35度近く、これ以上は暑すぎるので終了という判断だ。

収穫したブドウはモティさんとタイ人労働者がトラクターで集めてワイナリーを運ぶ。


写真:お昼のテイスティング会の準備に追われるギルさん


収穫後の楽しみ

収穫後の楽しみはなんと言ってもワイナリーに行っての休憩だ。

ワイナリーに戻ると、初めて会うご婦人が忙しいそうに働いていた。

「あなたがエリヤね?ギルよ。主人から聞いてるわよ(笑顔)」

「あなたの事もうツァブレ*²だって言ってたわ」

ワイナリーの地下に入るとそこにはテイスティング用のワインが並んでいた。

*2ツァブレとは



写真:テイスティングルームは半地下の落ち着いたスペース


フラッグシップのTimelessの2008と2006年をテイスティング。

2008は柔らかく、少し酸味の強いワインで、芳醇な香りとコクのある味わい、下にまとわりつく感じは長期熟成の賜物なんだろう思った。

2006年は熟成したベリー系の香り。さらにしっとりというかマッタリした口当たり。

フルボディなのにライトな感覚とふわっと口に広がるフルーティな甘味と酸味のサプライズ。好きにならずにはいられないテイストだった。

プレゼントでTimeless2008を貰い、程よい疲れとワインの余韻が残る良い収穫でした。

写真:Timeless2008ブレンド

収穫日:2020/8/24

時間帯:6:00~10:30

収穫種:Ruby Cabernet

ご褒美:赤ワイン1本 Timeless2008



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